介護施設で入居相談を受け、予算の話をする際には、現在の資産額で入居出来るかは、考えます。相談された際に、実際どの程度、お金がかかるかは、説明する事があるので、考えをまとめておきます。(結論:720万円維持出来ていれば、介護費用はどうにかクリアできると考える。)
介護が必要になってから重度化するまで
現在、厚生労働省の発表によると、健康寿命は73,74歳、平均寿命は85歳と言われている。10~12年程度はなんらかの介護が必要と言える。ただし最初の5年くらいは、施設に入るほどではなく、自宅で何らかの支援(デイサービス、訪問介護、ショートステイ)を利用しながら、それまでの生活費を維持したままでの生活は可能と考える。
現在の介護保険制度であれば、要支援2、1割負担の利用者であれば、月に1万円いかない程度の費用でも、在宅で生活を継続する事が可能な様々なサービスが利用出来る。
要介護認定以降
2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査によると、介護期間は、令和3年調査であればおよそ5年、3年おきに調査が行われているが、過去10年の調査結果より令和3年の調査結果では、介護期間が5か月程度長くなっている。
多種多様なサービス、製品が生まれ、介護に関する知識や技術も成熟してきている、医療の発展などの理由から、介護期間は今後も伸びていく事が想像される。
要介護1以上が認定されると、同居する家族がどの程度、支援出来るのか、認知症やADLの状態にもよるが、本人、家族、社会の安全も考えて、施設への入所が検討した方が良いと考える。
参考:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査
施設費用
施設費用は地域制もあり、厳密には算定出来ず、施設の種類によって費用も様々である。
現状、近隣の地域では、10万円~18万円程度で入居出来る施設については、満床運営されていて、順番待ちの状態である事が多い。安価で人気のある特別養護老人ホームについては1年~2年近く入居待ちとなる事も多く。それらの事を考慮して必要額を算定する。
月々30万円の予算であれば、すぐに入居出来る施設が近隣にもたくさんあるだろう。
人気のある特別養護老人ホームであれば月々の費用は、年金額、居室、負担割合などにもよるが、多めに見積もって13万円あれば問題なく入居可能と考える。
施設入居後、亡くなるまでの費用計算 一例
一般的に月々30万円の支払いを許容すれば、近隣ですぐに入れない施設は無いと考える。そこに2年間入居して、特別養護老人ホームに入居の申し込みをし、2年後に特別養護老人ホームに入居(月々12万円程度の支払い)、それ以降は概ね3年程度で亡くなると仮定すると
30万円×24か月+13万円×36か月=1188万円
となるので、年金額が10万円程度であっても、700万円程度資産があれば、なんとか平均値で言えばクリアは可能となる。
実際は…
今まで見てきた方でも115歳まで生きて、家族が費用の捻出に困っているところも見てきているし、誰もその人が何歳まで生きるか分からない。死ぬより怖い事は、取り崩した資産が死ぬまでに無くなる事だ。と誰かが言っていました。
資産がいくらあれば足りるか、というのは現行の制度上での試算しか出来ないし、難しい部分でありますが、上の一例であれば一度、特養に入ってしまえば、資産が無くなったとしても、生活保護制度を利用し、最後までクリアする事が可能です。
施設に入ってしまえば、お金を残していても、全く使う事は出来ないので、無意味ですし、生活保護でも最後までいける施設に入るまでの、急場を凌げる資金、具体的には720万円程度の資産を介護が必要になる状態まで維持、出来ていれば、問題ないと考えます。
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